「こんなに溢れさせて....。淫乱だな綾は」
薄明かりの下、全裸にされた綾は必死に羞恥をこらえていた。
身体中を鳩羽の舌が這いまわった。
耳たぶ、うなじはもとより、足の爪先、手の指、乳房........
あらゆるところを執拗に責められ、綾の背筋は甘美に慄えた。
その度に身体の中心からはとろり、とろりと蜜が湧きあがってくる。
「綾のいやらしいところ....もっとよく見せて」
「........!」
そう言って鳩羽は綾の足をいっそう大きく開き、濡れそぼった花園を舐め上げた。
花芽を散々捏ねまわしただけでなく、花弁を両側に押し広げ、奥深くまで舌を侵入させる。
瞬間、ビクンッと綾の全身が揺れた。
愛液が大量に迸る。
声を殺そうとしているが、鳩羽は限りなく甘い叫び声を聞いたような気がした。
「またイッた......」
苛んでいる花びらから口を離しつぶやいた鳩羽は、再び敏感に潤う花芯を責め立てた。
もう何度気をやったかわからない。
今達したばかりなのに、またもその部分を愛撫され続け、綾は気が遠くなりそうになった。
これほどまでに濃厚な前戯は初めてかもしれなかった。
綾の心も身体も、何もかもが自分のものだと言わんばかりの強引さ....。
その中に垣間見える、愛し過ぎてしまった者の懊悩。
どんなに思いをぶつけても足りないもどかしさが、鳩羽の裡を無性に駆り立てた。
終わりがみえないなまめいた感触に、綾は許しを請うた。
”もう、焦らさないで........。”
それだけ言うのが精一杯で、綾は鳩羽の唾液に濡れて悦楽の抜け殻になった全身をどうすることもできなかった。
「言えよ、俺だけしか見えないって....。俺のことを....欲しいと言えよ....」
ハアハアと苦しげに呼吸を繰り返す綾は、鳩羽の身体を引き寄せて、自分から唇を押し当てた。
恥ずかしいという気持ちよりも、鳩羽の口から零れ落ちる愛の言葉を自分の中に飲み込みたかった。
それと同時に、鳩羽がすくい取った蜜の味を自分自身で確かめるのは不思議な感覚だった。
”私の中から溢れたもの.....このひとを求めて....このひとが欲しくて......”
「....私のことを......あなただけが......自由にできるのよ......」
綾の声を聴き、鳩羽の心は瞬間満たされた。
だが、すぐに不安になる。
いつまで綾は自分を愛し続けてくれるのか。
自分の綾への愛は決して、揺らぐことはない。
宿命と言っていいほどに燃やし続ける想い......。
綾はどうなのか。
自分が想うほどに綾も自分を必要としているのか。
自分の中で、綾がすべてのものの中の頂上に存在しているように、自分は綾のなかにどう位置づけられているのか......。
答えがわかっていてなお拭い去れない焦り......。
その焦りこそが、鳩羽の情欲を掻き回し、獣にする。
肉の交わりの果てに何度も互いを確認し、恍惚を刻み、そしてまた繰り返していく......。
「綾......」
鳩羽の怒張が綾の中を何度も何度も抉る。
締付けられてなお、狭まった最奥に突き進む。
もう綾も自分を抑えることはできなかった。
悦びの声をあげ、いつしか涙さえにじんでくる。
はじめて鳩羽は綾のなかに愛欲の液体を吐き出した。
綾もそれを感じ、ふるえて、重ね合わされたままいつまでも離れられずにいる鳩羽の身体を抱きしめながら、その余韻をかみしめていた......。
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